それはいつもと変わらない朝
唯一変わることと言えば、この何時間後には学校で試験が始まるということぐらい
そんな中いつものように、携帯のアラームで目を覚ました私
もぞもぞと布団から顔を出し、寝ぼけながら何気なく部屋を見渡す
いつもと変わらない自分の部屋
今一度、夢の世界に入ろうとした矢先
ふと見た机の上で動いている物体が私の視線を捕らえた
黒くてごそごそとした、物体が
その物体は私の机の上で思う存分這いずり回ったあと
ブンッ…!と軽快な音と共に―…勢い良く、飛んだ
私の顔、目掛けて
「…っ!?」
危機一髪のところで布団を被り、物体との接触を免れた
私はドクドクとはねる心臓を押さえ、気を静めた
(まだいるのだろうか…?)
そんな考えが頭をよぎる
…とは言え、布団から顔を出す勇気もなく
ただ息を潜め、耳を研ぎ澄まし物体の気配を探る他なかった
しかし一向に分からないその消息に、ついに睡魔に耐え切れなくなった私は
そのまま深い眠りにおちたのだった
そして―…起きた
そう、起きた
寝て―…起きた
そう…つまりは、夢
夢だったのである
それもかなりリアルな、夢
まじに、現実か夢か区別がつかないくらいにリアルな、夢
起きたとき思わず探しちゃったよ?アレを
アノ物体を
でも冷静になって考えてみた
あたしは目が悪い、かなり悪い
どれくらい悪いかって言うと
4、5m離れた人と目が合っていても気づかないくらい悪い
外では眼鏡あまり掛けないけど、学校や家では必須アイテム
そんなあたしが軽く3m以上離れているであろう机の上で
這いずり回っている物体が何なのか、を認識できるはずがない
でもあの時のあたしは明らかに見えていた
明らかに頭の中でアレだと思っていた
……
や、めちゃくちゃ安心したね
うん、ホント
夢で良かった…
あ、
…アレって分からない人いないよね?
アレはアレ
黒くて油っぽくてつるつるしてて…
つまり、そうだよ
ゴキブリ
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